新潟の映画館として「そんなにお待たせしましたっけ」的な感覚でいたMOOSIC LAB 2018でしたが、なんと私たちで2018年版はラストとのこと!そういえば2019年も早くも4月です。直井さん、そして新潟の皆さん、本当にお待たせしました!MOOSIC LAB 2018新潟編は4/20(土)&4/21(日)の2日間、シネ・ウインドで開催しました。

今回は全作品の中から長編と短編あわせて8作品を4プログラムに分けて上映。2018年のムーラボは本当に秀作ぞろいで、それは審査員としても苦しく嬉しい悩みでもありましたが、上映プログラムを考えるのも一苦労。アレを選んで、やっぱりコッチは諦めて。コレとアレと、ではなくアレとコレと。こんな具合でセレクトした8作品だけあって、見た方なら喜んでいただける4つのプログラムが出来たんじゃないか、と実はちょっと胸張ってます!

左から「内回りの二人」柴野太朗監督、「無限ファンデーション」「左様なら」「いつか輝いていた彼女は」出演の日高七海さん、「無限ファンデーション」大崎章監督

4/20(土)の16:35からAプログラムは「内回りの二人」「月極オトコトモダチ」。偶然出会い、ひとつは偶然そしてもう一つは意図的に再会を果たした女性と男性の関係・距離感が絶妙な2本。この日は首都圏からのお客様で既に東京上映をご覧になった方もいました。その方も今回の組み合わせを喜んでくださったのが印象的でした。上映後には「内回りの二人」を監督した長岡出身の柴野太朗監督のトーク。ムーラボの魅力ともいうべき音楽と映画のコラボレーションが個人的に絶妙なこの映画、私は短編部門のグランプリに推しました。柴野監督の話ではテーマ曲「長所はスーパーネガティブ」の曲調やタイミングについても話があり、柴野監督と私自身の嗜好との共通点も改めて発見出来ました。そして柴野監督は昨年の「KILLER TUNE RADIO」に続き、新潟グランプリ「金の朱鷺賞」史上初の二度目のグランプリ受賞者。限りなく佐渡みやげに近い朱鷺の盾を再び贈呈しました。

19:00からは「いつか輝いていた彼女は」「無限ファンデーション」。両作品に出演した日髙七海さんと「無限ファンデーション」大﨑章監督をお招きしての上映でした。日髙さん出演の3作品を見られたのは、私にとってMOOSIC LAB 2018最高の収穫だったかもしれません。すべての出演作品で高校生を演じていた日髙さんでしたが、いずれの作品でも彼女の台詞・態度・視線が、映画の速度や方向を繊細に変え作品をより魅力的にしていると感じました。特に即興演技で撮影された「無限ファンデーション」の中盤以降の日髙さんは正に私の考える演劇部の先輩。瑞瑞しい映像と共に心に残りました。上映後のトークは出演作への深い愛情を語る日髙さんと、行動する群馬愛の体現者=大﨑監督の懐の深さに心から感謝。当日立ち会ったお客様の多くはこれからもお二人の活躍に注目していくことでしょう。いや絶対ファンになったはずです!もちろん大﨑監督と日髙さんにも金の朱鷺賞受賞の盾をプレゼントしました。そのあとの懇親会は言うまでもありません。

「左様なら」出演の栗林藍希さん、地元凱旋!本公開の時も宜しくお願い致します!

 翌21日の16:35からは「ドキ死」「左様なら」。内容・印象などまったく違うけど、誰かを見つめる視線の交錯が共通点かなと感じ組んだプログラム。そうだ、すごく素敵な女の子が主人公であることも一緒ですね。ゲストは「左様なら」に出演した新潟市出身の栗林藍希(くりばやし・あいの)さん。「左様なら」に登場する1クラスの高校生たちの中でも、実年齢最年少だった(15歳)藍希さん。最初は緊張しっぱなしだったそうで、むしろ撮影が終わってから出演者同士の交流が深まっていったと教えてくれました。地元出身ということもあり古くからの友人の来場者も多く、とても温かい雰囲気のトークになったことも付け加えたいです。今後も映画やテレビドラマ出演が控えている藍希さん、ぜひまたゲストとして来ていただきたいです。本当に!

 MOOSIC LAB 2018新潟編の最後は「ゆかちゃんの愛した時代」「普通は走り出す」。上映は平成31年の4/21(日)で「ゆかちゃんの愛した時代」は平成31年4月30日の深夜11時から始まる話。この映画をやらないのはもったいないということで最終プログラムに入れました。お越しになった方々も「わかる、わかるよ!」という反応、いや喜んでいただけて嬉しかったです。そしてトリプルファイヤーのファンと思わしきお客さんが目立った「普通は走り出す」。今泉力哉監督の名作「サッドティー」で彼らの曲を知った方も多かったみたい。まさに「サッドティー」新潟上映の際にお越しいただいた永井千尋さん出演作でもあり、私もお客様から問い合わせを受けました。個人的にも大好きなトリプルファイヤーの曲が劇場に響き渡るのはとても気持ち良かったです。

短編11本、長編10本の計21作品が参加したMOOSIC LAB 2018から8作品をセレクトした今回の新潟編。このセレクト過程は本音を言えば心苦しくもあり、今回上映を諦めた作品や関係者の皆さんには悪かったなあという気持ちでいっぱいです。実際自分が賞に選んだ作品でも上映見送ったりしましたし。私はせめて、これからも少しずつでも新潟におけるMOOSIC LABの認知度を高め、いつか歴代のムーラボフェスタ&新潟未公開作品ぜんぶ上映、なんてことがこの街で実現できたらなんて思っています。いや、けっこう真剣ですよ。ムーラボ関係者が新潟でともに浮上できるような状況を仕掛けたいです。本当です!

 さて改元にともなう興奮ただよう5/2(木)の夜、MOOSIC LAB 2018新潟編の座談会を開催しました。私も悪かったんです。急に決めて平日の夜に開催した座談会に参加してくれたのは、全プログラムコンプリートの30代男性と一昨年から毎年少しずつムーラボ作品に触れている20代女性の二人。でもそれぞれの感想や気になった点をうかがうにつれ、「こういう座談会、もっと早く始めておけばよかった」と思いました。MOOSIC LABって新潟に限らずどこの地域でも、その年の監督や出演者やミュージシャンへの注目もさることながら、ムーラボという企画自体のファンも多いんじゃないかって思うんです。すると、例えばここ数年の破れタイツさんの変遷とか、監督・今泉力哉と俳優・今泉力哉のギャップ?とか、当初と近年との作品傾向の変化とか、女性監督の増加とか、「無限ファンデーション」と「DuO」「M/OTHER」との比較とか、まあ見てるんだなあとまずは感心しました。それに当然ながら人それぞれ着目する部分は違うわけで、その個々人の違いそのものを認識できたのも良かったです。あとはやっぱり今回のゲストへのリスペクト。柴野太朗監督、日髙七海さん、大﨑章監督、栗林藍希さん、それぞれご本人に接して感じた魅力をはじめ映画監督の、そして俳優の凄みみたいな話も盛り上がりました。新潟以外でもその地域ならではのファンがいると思うので、これ各地でやればいいんじゃないの、そして比較しあったら面白いんじゃない、私はそう思いましたね。

MOOSIC LAB 2018の上映はこれにて全日程終了!関係者の皆さん、おつかれさまでした!

 東京ではMOOSIC LAB 2019も始動しています。まだ見ぬ新しい才能との出会いや、既知の作家の思わぬ魅力の発見がこれから待っていることでしょう。音楽×映画の祭典を通じて知った作品や才能をどのようにこの街の好奇心あふれる人たちに伝えるか。私は新潟の映画館スタッフとしてこれからも考えていきましょう。(了)

文=井上経久(新潟シネ・ウインド/支配人)